九条の会・おおさか

 憲法施行60周年のつどい
     (2007年5月3日)  ご報告
 井筒和幸さん     根来亮裕さん
 平岡  敬さん     吉田栄司さん
 津村明子さん     増井一友さん
 木下智史さん     集会プログラム

映画監督 井筒和幸さん
  平和憲法を語る(対談)






  木下智史さん(左)と、 井筒和幸さん(右)
(木下智史さんとの対談から抜粋)

 僕のお父さんは20歳のときに兵隊にとられました。終戦の年の5月のことです。兵隊に行くとき、祖母(つまり父の母)は、「あんた、なんもせんと早く帰っておいで」 と言ったそうです。 ずっと後でこれを聞いた僕は、ああ、これが戦争中の奈良や大阪の普通のお母さんたちの素直な気持ちやったんやなぁ、と思いました。
 国が戦争をしているとき、国民すべてが政府の言うとおり右向け右、ということではなくて、本当に戦争で息子が死なないでほしいと願っていたんでしょうねぇ。
     *   *   *
 映画「パッチギ!」第1作では、在日朝鮮人2世の青春を描きました。今回の第2作では掘り下げて、在日1世の人たちの青春を描きました。在日1世の青春といえば戦争の時代。どのように日本へ来たかも描きました。
  この第2作では、自分の映画で初めて、戦争シーンも入れました。格好いい戦争ではなくて、本当の戦争は、こんなに悲惨で残酷なんだというシーンです。若いスタッフと一緒に作り上げました。
 戦争ができるようになったら、大手広告代理店なんかが「戦争へ行こう」という格好いいCMを作るんでしょうね。そういう世の中になってしまいそうです。
 イラクへ行ったアメリカの州兵の多くは19歳から21歳で、貧困の中からお金ほしさでイラクへ行く。なかには、親から行けと言われていく人もいるだろう。でも、帰ってくるときはボディーバックに包まれた死体です。そういう悲惨なところは映像に出てこない。
 日本でも、どこかで「周辺事態」が起こったら、いつでも戦争に行くんだと思わせながら教育していく方向に進められようとしている。 でも、われわれは、そんなことは望んでいないですよ。
 昨日(5月2日)の新聞の世論調査でも、安倍くん・・・僕より2つ下だから安倍くんでいいんです(笑)、安倍くんが言う憲法改正の中味と、国民が思っている意見とは違うことが分かった。改憲賛成派の人も、9条を変えるべきとは思っていないんですよね。
     *   *   *
 憲法の条文は、いいことが書いてある。要するに、「人の嫌がることはやめましょう」と書いてあるんだから(笑)。
 憲法に書いてあるのは一体何かというのが大切なんです。 憲法は国を監視する装置、つまり権力の横暴を管理監督するものなんです。われわれが監視されるための憲法ではない。戦争を政府にやめさせるための憲法です。
 映画を通じて若い人に伝えていきたい、と言うとおこがましいけど、本当に若い人には考えてほしいんです。
 一昨日のメーデーで、フリーターの若い子らがデモ行進してたよ。なかなか面白かった。 あまり発言してこなかった子らが、自分たちへの保障を求めてデモをするようになった。もっとすればいいですね。
     *   *   *
 今日、この会場に来ている皆さんは大丈夫だからね(笑)。 大切なのは、この会場に来ていない若い人たちに、しっかり伝えること。戦場に行かされるのは若い人だから。 頑張っていこう。



元広島市長    .
 平岡 敬さん
 .
 4月17日夜に銃撃されて死亡した長崎市長の伊藤一長さんとはご一緒する機会も多かった。 言論へのテロは、民主主義と基本的人権を破壊するものであり、断じて許せません。
 私は1952年に広島の新聞社に入社した。報道メディアが戦争に協力してきた責任は大きいと痛感する。国の圧力があったのは確かだが、それに抵抗できなかったメディア側の責任というものが十分に認識されていない。
 戦前は、戦争追行のために言論弾圧の法規が整備されていった。今も、1999年の周辺事態法に始まり、少しずつ基本的人権・言論の自由を制約する法律が出てきている。
 現に今の報道をみても、イラクに行った自衛隊が何をしているのか、隊員の生活状態や宿営地の様子なども取材できず伝わらない。すべて当局の発表だけが伝えられています。 これでは戦中の大本営発表と同じです。
 安倍首相は、戦後レジームからの脱却を掲げる。そういう言葉で、戦後の政治原則とされた国民主権、平和主義、基本的人権という柱を全部否定しようという訳です。しかし、これらの原則は、戦前戦中の人々の多大な犠牲の上に築かれて、憲法に刻み込まれたものです。そのことを忘れてはならない。
 私自身も「マスコミ九条の会」の一員です。ご一緒に憲法を守ってゆきましょう

大阪府生活協同 .
組合連合会会長
.
津村明子さん
 中学1年のときに憲法ができて、「これで無理矢理に戦争に行かされることはない」と、ホッとしました。本当に嬉しかったです
 憲法ができて60年だから古いということはありません。いいものは、ずっと守り続けていきましょう。
 憲法は国民が政治権力の手足を縛るためのものです。安倍さんはこのことを分かっていなくて、自分が国民を押さえつけるために憲法を変えられる立場にあると思っています。 
 憲法を守る声を、大きく広げていきましょう。
 
関西大学教授  .
木下智史さん
 井筒監督と一緒に書いた本の題名は、「憲法が変わっても戦争にならないと思っている人のための本」。 長い題名ですが、まさに多くの人が憲法が変わっても大丈夫と思っています。
 しかし、戦争をできるように9条を変えることと、国民を戦争に協力させるために義務を課すことは、一体として進められています。 知らず知らずの間に、戦争への道を歩まされる。この危険性を多くの方に分かってもらうことが大切です。

浄土真宗    .
西性寺住職
   .
根来亮裕さん
 本日の司会を務めさせていただきます。
 私どもは「宗教者九条の会」を作っています。 宗教者も、過去の戦争への協力について批判され、反省することが第一歩だと思っています。
 今日の会場は大満員です。素晴らしい集会になりましたね。

会場(大阪国際交流センター)には、
1800名の方が集まりました。


 会場に入りきれず帰られた方、座席がなく立ち見の方、通路に座られた方、第2会場や廊下で声だけを聞いておられた方も大勢おられます。
 ご迷惑をおかけいたしました。
関西大学教授  .
吉田栄司さん
 いま、全国で6000以上、大阪だけで600以上の「九条の会」ができています。憲法を守ろうという取組みが草の根に広がっています。
 でも、まだまだ少ないです。 皆さんの職場に、マンションに、九条の会がありますか?
, もっともっと広げて、戦争できる国を目指す企てを許さない世論を作りましょう。
 先日、衆議院の大阪公聴会で、国民投票法案の問題点について意見陳述しました。しかし、あっさり無視されて強行採決されてしまいました。民主主義と国民の権利を踏みにじる、ひどい法案です。今は参議院で審議されています。この法案の問題点をしっかり勉強して、改憲への道を阻止していきましょう。
ギタリスト
 増井一友さん


 2曲を演奏していただきました。
 流麗なギターの音色が会場に響きました。

 集会当日プログラム (2007年5月3日・大阪国際交流センター)

    1時30分 開場
    2時00分 開会    *司会  根来亮裕さん(浄土真宗西性寺住職)

   主催者あいさつ
     澤野義一さん(「九条の会・おおさか」事務局、大阪経済法科大学教授)

   スピーチ
     津村明子さん(大阪府生活協同組合連合会会長、「九条の会・おおさか」よびかけ人)
     平岡 敬さん(元広島市長、「マスコミ九条の会」よびかけ人)

   音楽演奏
     増井一友さん(ギタリスト)

   ミニ講演
     木下智史さん(関西大学法科大学院教授)

   対談
     井筒和幸さん(映画監督)・木下智史さん

   府民へのよびかけ
     吉田栄司さん(「九条の会・おおさか」事務局長、関西大学教授)

    4時30分  閉会


九条の会・おおさか 連絡先   (2009年春に移転しました)

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