「グローバル不況」と言わざるを得ない状況です。経済が牙をむくとき、平和が脅かされます。
これまで、金融の世界では「強者の論理」ならぬ「狂者の論理」がまかり通っていました。
なぜ、狂ってしまったのか。それは、金融の世界から「人」が消えてしまったからです。本来、「金融」とは人と人とが互いに信用しているところにしか成立しません。ところが、「サブプライムローン」が作られて経済が破綻しました。そこには、人への信用が存在せず、無責任にお金を貸すという実態があったのです。こうしたことが、今日の深刻な経済情勢につながってしまいました。
そこから生まれた現象として、今度は逆に「人にはお金を貸さない」という事態が生じてきました。国家が金融機関に公的資金を注入しているが、これは国家権力による経済統制強化という面もあり、注意が必要です。誰にお金を貸すのか、誰にお金を貸してはいけないかを国が指図するという統制経済に向かうことは、国家の力を増大させて平和を脅かすという面があるのです。
金融も政治も外交も、今までは「自分さえよければ病」とでもいうべき病気が広がっています。そこから一歩踏み出て、自国のことだけでなく近隣諸国のことにも目を配れるように変化することが、平和のために重要だと思います。 |
|
先ほど浜矩子さんが言われた「自分さえよければ病」も深刻ですが、会社の行動倫理という面からみると、「株主さえよければ病」という病気が深刻な状態です。
たとえばオリックスの宮内社長は、著書で「株主資本主義においては、株主の利益を最優先すべき。そのことがコーポレートガバナンス(企業統治)の目的である。」と述べています。そのうえで、コスト削減と人員削減を徹底することが株主の利益になると強調しているのです。
こうした考え方が各企業で徹底された結果、2002年〜2007年には工業生産も株主配当も上昇しましたが、国民はその実感はありません。依然として長い不景気が続いているというのが実感です。むしろ、企業・株主が利益を得るのと対照的に、不安定・低賃金の非正規雇用が急増し、失職やワーキングプアが増大しました。
こうしてみると、株主の利益を最優先することは、結局のところ社会全体の利益になっていませんし、むしろ社会不安を増大させることによって経済の安定成長に限界を生じさせていると思います。
憲法9条の理念である平和を実現するためにも、本当に一人一人の市民が安心して生活できる経済社会が必要だと思います。 |