会場:エルおおさか 大ホール

      
  ↑ 1200名の方々が参加し、満員になりました。 ↑ 対談「世界同時不況と平和を考える」
 左から、吉田栄司さん、浜矩子さん、森岡孝二さん

【プログラム】 2009年5月3日 午後1時30分開会
  ミニ講演 宇野徹さん (桃山学院長)
  講演と対談 「世界同時不況と平和を考える
     森岡孝二 さん (関西大学教授・株主オンブズマン代表)
     浜 矩子 さん (同志社大学教授・エコノミスト)
  ミニコンサート 弦楽四重奏
     大阪センチュリー交響楽団有志

ミニ講演

宇 野 徹 さん

   (桃山学院長)

  第二次世界大戦で、日本はアジアに犠牲を強いてきました。日本も大いなる痛みを受けて戦争が終結しました。それを二度と繰り返すまいという決意で、われわれは日本国憲法を制定したのです。
  「憲法はアメリカから押し付けられた」という論調もあります。しかし、そのような論調は、アメリカと軍事同盟を結んで、アメリカの傘下に入ったがために、いつでも戦争をできる体制にならなければならないという考えによるものです。むしろアメリカに奉仕する考え方と思われます。
  戦争というものは、どのように正当化することもできません。人間を狂わせ破壊するものです。
  聖書には、「神は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。彼らは剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない」とあります(イザヤ預言)。また、「平和の王」について述べたイザヤ書は、「彼は主を畏れ敬う霊に満たされる。目に見えるところによって裁きを行わず、耳にするところによって弁護することはない。弱い人のために正当な裁きを行い、この地の貧しい人を公平に弁護する。その口の鞭をもって地を打ち、唇の勢いをもって逆らう者を死に至らせる。正義をその腰の帯とし、真実をその身に帯びる。」と述べています。武器による統治は否定されるべきというのであります。
  日本国憲法9条は、世界の宝であると思っています。軍事力に依存する権力は必ず他者を抑圧します。相手の言うことに謙虚に耳を傾け、外交を大切にする政治こそが、いま求められています。



講演 浜 矩 子 さん
    (同志社大学教授・エコノミスト)
講演 森 岡 孝 ニ さん
  (関西大学教授・株主オンブズマン代表)
  「グローバル不況」と言わざるを得ない状況です。経済が牙をむくとき、平和が脅かされます。
これまで、金融の世界では「強者の論理」ならぬ「狂者の論理」がまかり通っていました。
  なぜ、狂ってしまったのか。それは、金融の世界から「人」が消えてしまったからです。本来、「金融」とは人と人とが互いに信用しているところにしか成立しません。ところが、「サブプライムローン」が作られて経済が破綻しました。そこには、人への信用が存在せず、無責任にお金を貸すという実態があったのです。こうしたことが、今日の深刻な経済情勢につながってしまいました。
  そこから生まれた現象として、今度は逆に「人にはお金を貸さない」という事態が生じてきました。国家が金融機関に公的資金を注入しているが、これは国家権力による経済統制強化という面もあり、注意が必要です。誰にお金を貸すのか、誰にお金を貸してはいけないかを国が指図するという統制経済に向かうことは、国家の力を増大させて平和を脅かすという面があるのです。
  金融も政治も外交も、今までは「自分さえよければ病」とでもいうべき病気が広がっています。そこから一歩踏み出て、自国のことだけでなく近隣諸国のことにも目を配れるように変化することが、平和のために重要だと思います。
  先ほど浜矩子さんが言われた「自分さえよければ病」も深刻ですが、会社の行動倫理という面からみると、「株主さえよければ病」という病気が深刻な状態です。
  たとえばオリックスの宮内社長は、著書で「株主資本主義においては、株主の利益を最優先すべき。そのことがコーポレートガバナンス(企業統治)の目的である。」と述べています。そのうえで、コスト削減と人員削減を徹底することが株主の利益になると強調しているのです。
  こうした考え方が各企業で徹底された結果、2002年〜2007年には工業生産も株主配当も上昇しましたが、国民はその実感はありません。依然として長い不景気が続いているというのが実感です。むしろ、企業・株主が利益を得るのと対照的に、不安定・低賃金の非正規雇用が急増し、失職やワーキングプアが増大しました。
  こうしてみると、株主の利益を最優先することは、結局のところ社会全体の利益になっていませんし、むしろ社会不安を増大させることによって経済の安定成長に限界を生じさせていると思います。
  憲法9条の理念である平和を実現するためにも、本当に一人一人の市民が安心して生活できる経済社会が必要だと思います。



大阪センチュリー交響楽団有志の皆さん
による弦楽四重奏


 会場に流麗な弦楽四重奏が響き渡りました。
      


九条の会・おおさか これまでの歩み
 ▼2004.9 講演会  ▼2006.3 記者会見 ▼2005.5 憲法のつどい  ▼2006.4 講演会 
 ▼2006.11 公布60周年のつどい    ▼2007.5 施行60周年のつどい   ▼2008.3 ビッグ対談 
 ▼2009.5.3 世界同時不況と平和を考える 


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